目覚めたら契約花嫁
会社に到着すれば、突き刺さる視線に溜め息を漏らした。

益々有名人になったみたい。


「レアードさんの………。」

「どうやって射止めたの?」


ロイの婚約者話も確実に広がった。

ロイは相当モテるらしい。

まあ、あの容姿に財力、地位………モテない理由がない。


「おはようございます。」

「おはよう、リン。」

「おはよう、リン。噂はいかが?」


早速、突っかかるのはシャーロット。


「噂?」

「射止めた理由よ。お答えにならないの?」

「………。」

「婚約破棄の件もお聞きに?リン、貴女は大丈夫?」

「………ええ。」

「まあ、レアードさんの気が変わらないと良いわね。」


シャーロットが仕事に戻るのを見送り、自席へと腰掛けた。

『気が変わらないと良い』か。

ロイは私が幸運をもたらすと思っているから婚約者にしただけだ。

捨てられるかもしれない。
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