目覚めたら契約花嫁
「リン、コーヒーを。」

「はい、CEO。」


不意にミシェルに声を掛けられて我に返った。

今は仕事に集中しなければ。

CEO室に入れば、ソファに腰掛けるミシェルがいた。


「リン、ロイの噂を聞いた?」

「噂ですか?」

「婚約破棄の噂よ。」

「………マスコミに聞かれました。」

「リンは知ってた?ロイが婚約を破棄した過去がある事を。」

「いえ。」


コーヒーをテーブルに置いた。

カップには黒猫のマークが描かれている。


「リン、もっと自信を持ちなさい。ちゃんとロイとも話し合いなさい。」

「はい。」

「ロイにとっては話したくない過去でしょうが………、リンには話してくれるでしょう、きっと。」


それだけ言うとミシェルは仕事モードへと変わった。
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