目覚めたら契約花嫁
「ダヴィ!」

「ロイ様、タオルです。」


急いで用意してくれたのか、駆け足でタオルを持ってきた。


「ケリー!ケリー!」

「はい!ロイ様、何か?」

「彼女の体を温めてくれ。ゲストルームのベッドに寝かせたら呼んでくれ。」

「えっ?あっ、はい。ダヴィ、こちらに運んでください。」


ケリーは60歳近くになるメイド長で、私の祖父時代から仕えている信頼できるメイドだ。

彼女はどう見ても異国から来た女性だ。

黒髪に黒いロングコートの彼女は一瞬黒猫かと思った。

シャノワールで黒猫は幸運の象徴とされている。

雨の中、駆け寄ってしまった自分に驚いた。

体が勝手に動いたのだ。


「ロイ様も温まってください。」


掛けられた声にシャワーを浴びに向かった。
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