目覚めたら契約花嫁
シャワーを浴びて部屋着へと着替えれば、テーブルには温かい飲みものが用意されていた。

ソファに座り、ゆったりと寛いでいたが、暫くするとダヴィの言葉に部屋を後にした。

ケリーが私を呼んでいるそうだ。


「ダヴィ、彼女は?」

「目を覚ます様子はありません。」

「そうか。医師は?」

「まもなく到着します。」

「わかった。」


彼女は大丈夫なのか?

目を覚まさないのは何故だろうか?

ベッドに眠る彼女を見て息を呑んだ。


「………ッ………。」


お伽話に出てきそうな異国の姫が眠っているようだった。

綺麗な顔をじっと見つめる。

人形のようだと思った。


「ロイ様、医師が到着されました。」

「診てもらってくれ。」


胸の高鳴りが鳴り止まない。

生まれて初めての出来事に、部屋を一度出た私は大きく深呼吸した。
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