目覚めたら契約花嫁

「事故に………。」

「事故？」


ロイの声色が変わった。

低く疑うような声色に。


「そう、事故に。死んだのかと思ってました。」

「医師に見せたが、傷一つなかったようだが？」


ロイは信じられないようだ。

確かに体に痛みはない。

傷も無さそうだ。


「私の家を狙ってるのか？」

「えっ？」


低く冷たい視線が突き刺さるのを感じる。


「君は何者だ？」

「………。」


ロイに疑われているのがヒシヒシと伝わってくる。


「君は何者だ？」


再び掛けられた言葉は冷たい声色だった。

彼の冷たい視線を見つめ返す。


「私は………普通の………会社員。」


そう。

私はごく普通の会社員。