目覚めたら契約花嫁
「会社員?」

「そうよ。」


嘘だと思われている?

じっとロイのブルーの瞳を見つめ返した。

椅子から立ち上がり、私へと近づいてくる彼を目で追いかけた。

ベッドに腰掛けた彼の手が私の頬へと伸びてくる。


「リン。この瞳は?」

「珍しいかもしれないわね。」

「オッドアイ。」

「そう言われる。」


私の瞳はオッドアイだ。

黒色とヘーゼルの瞳。


「リン、契約だ。」

「えっ?」

「私の花嫁になれ。」

「………花嫁?」


彼は何を言っているの?

花嫁になれ?


「これは契約だ。助けて欲しくないのか?君はシャノワールを知らない。行く場所はあるのか?」

「………。」


行く場所なんてない。

シャノワール王国?

全然知らない。


「助けてやる。どうだ?花嫁になるか?」
< 9 / 146 >

この作品をシェア

pagetop