目覚めたら契約花嫁
「リン?」


心配そうなロイの声が聞こえ、ロイの方へ顔を向けた。

スコールの雨により、ずぶ濡れになった私の髪を搔き上げるロイの手が震えて見えた。

珍しくロイの瞳が揺れている。


「ロイ?」


そんなロイに声を掛ければ、ロイの手が私の頬を撫でた。


「ロイ?」

「リンは消えないよな?」

「消える?」


私の濡れた頬を撫でる手が震えているように感じる。


「俺の前から消えないよな?」


ロイの不安が伝わってくる。

雷でトリップした私が………再び何処かにトリップしてしまうのではないかと思っているのだろう。

ロイが私を強く抱き締める腕が震えている。

そんな不安で揺れるロイを私も抱きしめ返した。


「リン、何処にも行くな。」


聞いたことのない弱々しいロイの声に、大丈夫だという意味を込めて背中を摩った。
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