あなたの義理の妻になります！

陵君が着く前に自分の荷物の整理をしてしまおうと、段ボールから衣類や本、メイク道具等を出して、あらかじめ置いてある本棚や棚の上、クローゼット等に仕舞った。


そして、作業が一段落した頃ー

ガチャっ！…バッタン！

玄関のドアを開ける音がしたと思ったら、
「ふー、やっと着いた…たくっ、親父も仕事急に頼むなっつーの…」

この家で、これから仮の夫婦として一緒に住むことになる陵君の声が聞こえた。

今すぐ声をかけようとしたところで気がついた。

私…今まで陵君のことを呼んだこと無い…なのにいきなり「陵君！」なんてやったら…陵君のことだから、『は？何こいつ』とか、それか『ウザい。近寄んないでくれる』とかとか…あ、あり得る……

よし！ここは、普通に「新河君！」って呼ぼう。
何でこんな当たり前に気づかなかったんだろう