潔癖症な彼の素顔
「このままだとビリになる!」
「秋!何とかしろ!」
「無責任な…はぁ」
ご、ごめんなさい…。
「…っ」
「西谷さん、声出さなくていいから口パクで教えて」
「え…」
口パク?
それで分かるのかな…。
「早く」
「はっ、はい…」
私はお題を口パクで伝えた。
でも、目線を合わせることが恥ずかしくて下を向いたまま。
葉山君に口元なんか見えるはずがない。
もっと困らせてしまった。
クイッ
「ひゃっ!」
いきなり葉山君と目線があった。
「ちゃんと俺の顔を見て言って」
「っ…はい」
葉山君は、私が下を向いちゃったから自分のペンで私の顎をクイッと持ち上げた。
こんな事をされて、恥ずかしくないわけが無い私は、目が回りそうなくらい顔が赤くなった。
そして、私は口パクだったけど何とか葉山君に伝える事ができた。
「うん、分かった」
流石、葉山君。口パクでさえ素早く読みとり、次の雪ちゃんへと繋げた。
「了解!」
雪ちゃんへと繋げたあと、葉山君は私の方を向いてきた。
「ごめんね。ちょっと強引過ぎたね」
「あ、いや、その…。葉山君は悪くない…。私が駄目だから…」
… 私は助けてもらったから、葉山は悪くないよ…。
でも、私が伝えた終わるまで下を向かせてくれなかったから、ちょっとびっくりした…。