桜の花が散る頃に
虎丸と夏実
[虎丸と夏実]start
あっ…つい。今年は超温気候で、皆バテバテ。
しかも梅雨も抜けず、ジメジメ。
もう時は七月の終わりに差し掛かっていた。
そんな梅雨よりもジメジメしているのが、このホームルーム中の教室の空気。
いつもは元気ハツラツ爽快男の担任 ガッちゃんが、いつになく渋い顔で悩み込んでいるからだ。
この空気に耐えられなくなったのか、夏実がすくっと立ち上がる。
「ガッちゃん、どしたの眉間にしわ寄せて。クラスがじめーっとしてるよ?」
「おー、藍泉、お前もとうとう俺の事をガッちゃんって呼ぶようになったか…」
「え、嫌なの?ガッちゃんってアダ名。」
「いや…気に入ってるよ…別にそんな事どーでもいいんだ、どーでも…。ホームルーム終わろっか…皆お疲れ…」
ハキハキしないガッちゃんに、クラス全員釈然としないまま解散。夏実はイライラしたのか、ガッちゃんが睨めっこしていた紙を取り上げる。
「あ、おいこら藍泉!」
取り上げた紙を夏実と一緒になって見ると、そこにはとある人物の個人情報が書かれていた。
「おおまる とら…てつ?わだち?誰これ?」
「それで“オオガコテツ”って読むんだよ。ほら、窓側一番後ろ端の席開いてるだろ?夏実と一緒で、始業式から一回も学校に来てねぇの。」
俺の説明に、夏実は あーね、と呟く。
そうこうしているうちに、ガッちゃんに紙を奪い返されてしまった。
ガッちゃんは相当激おこ。
「と、ところでガッちゃん、そいつがどうしたん?俺アイツとそこそこ仲良かったからなんか力になれっかもよ!」
話を逸らすついでにそう言って見ると、ガッちゃんは意外にも食いつきを見せた。
「いやな…一学期丸々休みとなると、進級が危うくてだな…何回も電話してるんだが、連絡が取れなくて…俺としては!全員進級させてやりたいんだ!」
うおー、さすが熱血教師。
「えーと、じゃ、学校に連れてきたらいっすか。多分あいつのことだから来たくないわけではないと思うし…多分会える思うけど。」
「おお、本当か!塩谷〜俺はお前のような生徒の担任になれて嬉しいぞ!あとは成績が」
「へいへーい。頑張るだけ頑張るわ〜。」
すぐ成績成績って言わなきゃ良い先生なんだけどなあ。
ま、先生だから言うのか。
とりあえず成り行きでアイツに会いに行くことになりそうだ。
また何かがある予感…。
あっ…つい。今年は超温気候で、皆バテバテ。
しかも梅雨も抜けず、ジメジメ。
もう時は七月の終わりに差し掛かっていた。
そんな梅雨よりもジメジメしているのが、このホームルーム中の教室の空気。
いつもは元気ハツラツ爽快男の担任 ガッちゃんが、いつになく渋い顔で悩み込んでいるからだ。
この空気に耐えられなくなったのか、夏実がすくっと立ち上がる。
「ガッちゃん、どしたの眉間にしわ寄せて。クラスがじめーっとしてるよ?」
「おー、藍泉、お前もとうとう俺の事をガッちゃんって呼ぶようになったか…」
「え、嫌なの?ガッちゃんってアダ名。」
「いや…気に入ってるよ…別にそんな事どーでもいいんだ、どーでも…。ホームルーム終わろっか…皆お疲れ…」
ハキハキしないガッちゃんに、クラス全員釈然としないまま解散。夏実はイライラしたのか、ガッちゃんが睨めっこしていた紙を取り上げる。
「あ、おいこら藍泉!」
取り上げた紙を夏実と一緒になって見ると、そこにはとある人物の個人情報が書かれていた。
「おおまる とら…てつ?わだち?誰これ?」
「それで“オオガコテツ”って読むんだよ。ほら、窓側一番後ろ端の席開いてるだろ?夏実と一緒で、始業式から一回も学校に来てねぇの。」
俺の説明に、夏実は あーね、と呟く。
そうこうしているうちに、ガッちゃんに紙を奪い返されてしまった。
ガッちゃんは相当激おこ。
「と、ところでガッちゃん、そいつがどうしたん?俺アイツとそこそこ仲良かったからなんか力になれっかもよ!」
話を逸らすついでにそう言って見ると、ガッちゃんは意外にも食いつきを見せた。
「いやな…一学期丸々休みとなると、進級が危うくてだな…何回も電話してるんだが、連絡が取れなくて…俺としては!全員進級させてやりたいんだ!」
うおー、さすが熱血教師。
「えーと、じゃ、学校に連れてきたらいっすか。多分あいつのことだから来たくないわけではないと思うし…多分会える思うけど。」
「おお、本当か!塩谷〜俺はお前のような生徒の担任になれて嬉しいぞ!あとは成績が」
「へいへーい。頑張るだけ頑張るわ〜。」
すぐ成績成績って言わなきゃ良い先生なんだけどなあ。
ま、先生だから言うのか。
とりあえず成り行きでアイツに会いに行くことになりそうだ。
また何かがある予感…。