桜の花が散る頃に
涌井学と夏実
[涌井学と夏実]start
「おお、藍泉やっと来たか!」
北朝鮮史が終わり、ホームルームの時間。
我らが担任ガッちゃんこと遼河健先生が、いつにも増してニッコニコである。
「うっす!二ヶ月も休んで、すみませんでした!ところで私の席はどこでしょーか?」
そういや、さっき北朝鮮に教えてもらえなかったんだっけ、席…。
空いてる席って言えば確か、アイツの隣…
「んとな!真ん中の列の一番後ろの右側だ!隣は…涌井か!丁度いい、昼休みに、学校案内してやってくれ!頼んだぞ、生徒会副会長!」
やっぱり。
取っ付きにくい性格、壁のある喋り方と振る舞い、四六時中本の虫な奴。
「涌井君?ヨロシクね!夏実って呼んでー」
「…下の名前で呼ぶのは嫌いなんだ。」
ほーら、目も合わさない。
去年も同じクラスだったけど、なんかアイツはいけ好かない。
多分向こうも俺の事気に入らないみたいだし。
「夏実!案内なら俺がしてやるって。」
善意でそう言ったら、秒で断られた。
「涌井君に案内してもらうから大丈夫!」
あーあ、涌井も嫌そうだから提案したのに、夏実は空気読めない子なのか、それともわざとなのか…分からん。
そうこうしているうちに昼休みに突入。
んで何故か、
「なんで秋人も来んの?」
「いいだろ別に。暇なんだよ。」
「…。」
三人で学校を回ることになってしまった…。
夏実も夏実で、何度俺が案内するっつっても「涌井君に案内してもらう」の一点張りだし。
涌井も涌井で馬鹿正直に案内係引き受けなくても良いだろうに。
なんつーか、全部が全部真面目っつーか、変にプライド高いっつーか。
だって、一階から丁寧に全教室紹介するって、頭いい癖にアホだろ。
夏実も何とか言えばいいのに、なぜか満足そうな顔だし…
「…うちの高校、一応全員の部活参加が義務付けられているが、藍泉さんは何か気になる部活は?次は部室を案内しよう。」
涌井も涌井でなんかのってきてるし?
「んー、涌井君はどこに入ってるの?」
「…僕はどの部活にも所属していない。成績が定められた規定より高い者や、学校外でクラブチーム等に所属している者は、部活所属を免除される、と校則に示してある。僕は、前者だ。」
うっわー…嫌な言い方。
だからこいつ友達居ないんだよ、部活入ってる奴は全員バカと見下してるみたいだ。
涌井の言葉に、夏実は「ふーん」と興味深そうに相槌を打った。
「さすが進学校って感じだね。ま、じゃー私も部活はいいや!大方の教室の場所は分かったし、助かったよ!ありがと涌井君〜」
…ん?
いやいや、部活は全員参加だって。
あ、や、クラブチーム入ってるとかか?
「…クラブチームに所属しているのか?」
涌井も同じ事考えてたか。
まあ夏実は運動出来そうなスタイルと雰囲気はしてるけども
「え、ううん?してないけど。テストで良い点取れば免除されるんでしょ?なら問題ないさね!私、明後日から始まる中間テストで全教科満点取るから〜」
いや、そっちかい。
「…うちは進学校だぞ、甘く見てもらっては困るが。」
夏実の言葉にあからさまに機嫌が悪くなった様子の涌井。
そりゃそうだわな、涌井は一年の頃から毎度学年一位だけど、全科目満点なんて数回しか見たことない。
要するに、“次のテストでお前を抜くぞ”って宣戦布告されたようなもんだ。
「やっだー敵意剥き出し。そーゆーの滾るね!なんなら何か賭けてもいいよ!例えば、私が満点取れたら、私の事名前で呼ぶ、とか?」
夏実も夏実で楽しんでやがる。
登校初日に涌井を敵に回すとは、何を考えてるんだか…これだから目が離せない。
「…良いだろう。その代わり満点を取れなかったら僕には極力関わらないでくれ。お先に失礼する。」
涌井は怖い顔をして、先に教室に戻っていった。
涌井が乗らなかったとは言え…なんか嫌な予感がする、この勝負。
「おお、藍泉やっと来たか!」
北朝鮮史が終わり、ホームルームの時間。
我らが担任ガッちゃんこと遼河健先生が、いつにも増してニッコニコである。
「うっす!二ヶ月も休んで、すみませんでした!ところで私の席はどこでしょーか?」
そういや、さっき北朝鮮に教えてもらえなかったんだっけ、席…。
空いてる席って言えば確か、アイツの隣…
「んとな!真ん中の列の一番後ろの右側だ!隣は…涌井か!丁度いい、昼休みに、学校案内してやってくれ!頼んだぞ、生徒会副会長!」
やっぱり。
取っ付きにくい性格、壁のある喋り方と振る舞い、四六時中本の虫な奴。
「涌井君?ヨロシクね!夏実って呼んでー」
「…下の名前で呼ぶのは嫌いなんだ。」
ほーら、目も合わさない。
去年も同じクラスだったけど、なんかアイツはいけ好かない。
多分向こうも俺の事気に入らないみたいだし。
「夏実!案内なら俺がしてやるって。」
善意でそう言ったら、秒で断られた。
「涌井君に案内してもらうから大丈夫!」
あーあ、涌井も嫌そうだから提案したのに、夏実は空気読めない子なのか、それともわざとなのか…分からん。
そうこうしているうちに昼休みに突入。
んで何故か、
「なんで秋人も来んの?」
「いいだろ別に。暇なんだよ。」
「…。」
三人で学校を回ることになってしまった…。
夏実も夏実で、何度俺が案内するっつっても「涌井君に案内してもらう」の一点張りだし。
涌井も涌井で馬鹿正直に案内係引き受けなくても良いだろうに。
なんつーか、全部が全部真面目っつーか、変にプライド高いっつーか。
だって、一階から丁寧に全教室紹介するって、頭いい癖にアホだろ。
夏実も何とか言えばいいのに、なぜか満足そうな顔だし…
「…うちの高校、一応全員の部活参加が義務付けられているが、藍泉さんは何か気になる部活は?次は部室を案内しよう。」
涌井も涌井でなんかのってきてるし?
「んー、涌井君はどこに入ってるの?」
「…僕はどの部活にも所属していない。成績が定められた規定より高い者や、学校外でクラブチーム等に所属している者は、部活所属を免除される、と校則に示してある。僕は、前者だ。」
うっわー…嫌な言い方。
だからこいつ友達居ないんだよ、部活入ってる奴は全員バカと見下してるみたいだ。
涌井の言葉に、夏実は「ふーん」と興味深そうに相槌を打った。
「さすが進学校って感じだね。ま、じゃー私も部活はいいや!大方の教室の場所は分かったし、助かったよ!ありがと涌井君〜」
…ん?
いやいや、部活は全員参加だって。
あ、や、クラブチーム入ってるとかか?
「…クラブチームに所属しているのか?」
涌井も同じ事考えてたか。
まあ夏実は運動出来そうなスタイルと雰囲気はしてるけども
「え、ううん?してないけど。テストで良い点取れば免除されるんでしょ?なら問題ないさね!私、明後日から始まる中間テストで全教科満点取るから〜」
いや、そっちかい。
「…うちは進学校だぞ、甘く見てもらっては困るが。」
夏実の言葉にあからさまに機嫌が悪くなった様子の涌井。
そりゃそうだわな、涌井は一年の頃から毎度学年一位だけど、全科目満点なんて数回しか見たことない。
要するに、“次のテストでお前を抜くぞ”って宣戦布告されたようなもんだ。
「やっだー敵意剥き出し。そーゆーの滾るね!なんなら何か賭けてもいいよ!例えば、私が満点取れたら、私の事名前で呼ぶ、とか?」
夏実も夏実で楽しんでやがる。
登校初日に涌井を敵に回すとは、何を考えてるんだか…これだから目が離せない。
「…良いだろう。その代わり満点を取れなかったら僕には極力関わらないでくれ。お先に失礼する。」
涌井は怖い顔をして、先に教室に戻っていった。
涌井が乗らなかったとは言え…なんか嫌な予感がする、この勝負。