クールな弁護士の一途な熱情
「えっ、わっ!」
その力に引っ張られるがまま、静のもとへ倒れこむ。私の体を、静はぎゅっと抱き寄せた。
大きなソファが、ふたりの体でいっぱいになる。
な、なに……いきなりなにを!
「ちょっと、静?いきなりなに……」
あまりに突然のとこに、意味がわからず心臓がバクバクとうるさくなる。
そんなこちらの気持ちも知らず、静はぎゅっと私を抱きしめたまま。
静から、私と同じシャンプーの香りがする。そのことが余計この胸を高鳴らせた。
心臓が、もたない。
熱くて、ドキドキして、苦しい。
きっとこの感情すらも、彼と再会できたから感じられているもの。
もしも静と再会できなかったら。
私はまだ仕事に対しての気持ちも曖昧なまま、終わった恋を断ち切ることもできなかった。
今日踏み出した一歩は、静がいたから踏み出せた一歩だ。
「……いろいろありがとね」
抱きしめられたまま、胸の中でぼそりとつぶやく。
「彼と向き合えたのも静のおかげ。本当に、感謝してる」
酔っ払っていて、寝ぼけていて、聞いてないかもしれない。
それでも、こんな時でしか素直になれないから。