クールな弁護士の一途な熱情
「静とこの街で、再会できてよかった」
胸に顔をうずめたまま言い切った私に、静は黙ったまま。
また寝ちゃったかな、と思っていると、それまで抱きしめていた右手がそっと頬をなでる。
そして、静の顔が近づいたかと思えば、その唇は私のひたいにそっとキスをした。
「し、静?」
ひたいから頬へ、頬から耳へとその唇がなぞるように触れる。
耳にかかる息と、慣れないところに触れられたということにビク、と反応し思わず「ん、」と声が漏れた。
声出た……恥ずかしい。
静の表情を伺うようにちらりと見ると、彼は目を細めて笑う。
「……かわいい」
そして再び、抱きしめる腕に力を込めた。
「俺こそ、再会できてよかった。好きだよ、果穂」
そんなの、ずるい。
『果穂』なんて、これまで呼んだことないくせに。
こんなふうに、抱きしめて名前を口にするなんて。
好きなんて言葉に、今更意味などないことくらいわかってる。
だけど、どうしようもなくときめいてしまうんだ。
その胸に全身を預けるように、そっと目を閉じた。