クールな弁護士の一途な熱情
「静?どうかした?」
「えっ!な、なにも!」
その否定すらも怪しく、私はキッチンへ近づいてコーヒーを注ぐ彼の顔を覗き込む。
そして目があった瞬間、静の顔はたちまち赤くなった。
「へ?静?」
なんで赤面?
理由がわからずその顔をまじまじと見ていると、静は恥ずかしそうに右手で私の目元を覆い隠す。
「……見ないで。かっこ悪い」
彼がどんな顔をしてつぶやいたかはわからない。
けれど、いつもとは違うボソボソとしたその言い方から、恥ずかしさでいっぱいなのだろうことが察することができた。
……もしかして、昨日のことを思い出して照れてる?
普段は容易く触れてみせるくせに。
いつもみたいにからかって笑ってくれれば、私も冗談だと流せるのに。
触れる手が熱く、この体温も上げていく。
胸の中が、静の熱であふれていくのを感じた。