クールな弁護士の一途な熱情



この歳になって再会するからこそ、か。

確かに、静との距離もあの頃とは違う。

高校時代の同級生、である今の方が近く、触れられる。



けど、静の距離感ってわからないんだよね。

泊まった日の朝は顔真っ赤にしてたくせに、あの後職場へ来た途端いつも通りの顔になって。

それからの日々も、いたってこれまでと変わらない。



………そういえば、静の家にピアスが落ちていたのを今になって思い出した。



あれ元カノのかな。それとも現在進行形の彼女がいる?

でもそれで私を泊めたりする?

いや、世の中には平気で浮気をする人なんてそこら中にいる。身を以て知ったはずだ。

でも静に限って、いや、だけど。



考えてもこの前なんて出ないし、余計にわからなくなるだけ。

そうわかっていても、悩んでしまうんだ。






その夜。私は仕事終わりのその足で、昨夜映美から言われた通り、駅前の居酒屋に向かった。

金曜の夜ということでにぎわう店内の、一番奥の座敷席。

そこを覗き込むと、懐かしい面々が出迎えた。



「果穂だー!久しぶり!」

「えっ、高校の時と雰囲気違うー!」



同じ女子バスケ部の子たちに加え、男子バスケ部の人たちもおり、すでに飲み会は始まっているようだった。

用意された映美の隣に座ると、早速ビールを一杯注文した。



「ごめんね、果穂。全員揃うまで待ってる予定だったんだけど、男子が待ちきれなくて飲み始めちゃったんだよね」

「全然大丈夫だよ。みんな相変わらず元気だね」



あはは、と笑う私に、映美は申し訳なさそうに言いながらサラダを盛ってくれた。


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