クールな弁護士の一途な熱情
森くんも、会うの高校卒業以来だ。
あの頃黒色だった髪が茶色になったり、少しパーマをかけたりと大人にはなっているけれど、でも顔立ちは全く変わらない。
少しそっけなくも聞こえる、落ち着いた話し方も変わらない。
「森くんは、結婚とかは?」
「いや、まだ。果穂……はまだって言ってたな」
先ほどの会話を聞いていたのだろう。森くんはそう言って、まじまじと私の顔を見つめた。
「なに?老けたとか言ったら怒るよ?」
じろりと睨んで言うと、彼は「ははっ」と笑って首を横に振る。
「ないない。いや、綺麗になったと思って」
「綺麗って、またそうやってからかう」
「本当だって。大人っぽくなったよ」
お世辞だろうことはわかっている。けれど、メガネの奥の目を細めて笑う彼にちょっと照れてしまう。
あの頃はそんなこと言うタイプじゃなかったのに。変わっていないようで森くんも大人になったんだなぁ。
それから私は主に森くんと、思い出話やこれまでの話で盛り上がった。
静はずっと女の子たちに囲まれっぱなしで、話すことも近づくこともできなかった。
まぁ、たまの集まりくらい静もいろんな人と話したいだろうしいいんだけどさ。
そして3時間ほどが経ち、飲み会もお開きとなり居酒屋を出た。
お店の前に出ても、今だ静の周りは女の子たちが囲んだままだ。
「二次会、カラオケ行く人ー」
「はーい!伊勢崎くんも行こうよ」
二次会かぁ。明日は休みだけどあんまり遅くなるのもなぁ。
……静が女の子たちにベタベタされてる光景を黙って見続けるのもちょっとつらい。
そう思って私は、カラオケがある方向へ足を向けるみんなの中、足を止める。