クールな弁護士の一途な熱情
「ね、入江。もう一個誕生日プレゼントもらってもいい?」
「もう一個?」
すると静は答えるより先に、座ったまま私を正面からぎゅっと抱きしめる。
あまりに突然の行為に、されるがまま。その腕の中で慌てふためくしかできない。
「な、なにをいきなり!?」
「ちょっとだけ。独り占めさせてほしいなって」
独り占めって……。
静の考えがよくわからない。
だけど嫌な気持ちにはならなくて、むしろ、ドキドキと胸が鳴る。
静の体温に包まれて、彼のシャツの胸元をきゅっと軽く握った。
「ケーキ、せっかくだし入江も一緒に食べようよ」
「でも、静へのプレゼントなのに」
「ふたりで食べた方がもっとおいしいじゃん」
そんな会話をしながら、静の腕は私を抱きしめたまま。
早くなる、この心臓の音が彼に聞こえてしまいませんように。
そう願いながら、その体温を受け入れていた。