クールな弁護士の一途な熱情



「……ただの、嫉妬」



人混みの中、ボソッと呟く彼を見ると照れ臭そうな表情だ。



嫉妬……?

森くんに、対して?

そっか、だから私が森くんの話をする度機嫌が悪くなっていたんだ。



でも、なんで嫉妬なんて?

それじゃあまるで、静が私のことを好きみたいじゃない。



心の中で行き着いた答えに、一気に恥ずかしくなり耳まで熱くなる。



なんて、自惚れすぎだ私!

だけどそんなふうに期待してしまう。



頬も耳も、熱い。

絶対真っ赤になっているだろう自分の姿を想像して、ここが薄暗いところでよかったと心から思う。



「ちょっと人増えてきたね。もうすぐ花火始まる時間だし、ちょっと移動しようか」

「う、うん」



腕時計を見ると、時刻は花火が打ち上がる19時まであと20分と迫っていた。

静に連れられるがまま歩くと、その足は人が集まる海岸沿いから外れて一本細道に入っていく。



「静?どこいくの?」

「こっち。ちょっと歩くけど頑張って」



てっきり海岸沿いで見るのだと思っていたので戸惑いながらもついていく。



海岸沿いから離れ住宅地を抜け、ゆるやかな坂を登り……着いたのは、小高いところにあるある小さな公園だった。

いくつかの遊具と芝生が広がっただけの質素な公園には、人はおらず、街灯の灯りくらいしかない。


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