クールな弁護士の一途な熱情



12年前のあの夏の終わり。

静と別れたきっかけは希美ちゃんの存在だった。



元々静にベッタリだった彼女は、私と静が付き合い始めてからも変わらず、朝や昼休み、放課後など時間を見つけては静にくっついていた。

静はその度、彼女を離したり叱ったりしていた。

けれど、やはり幼い頃から妹のように接していたこともあり根負けしてしまうことも多かった。



私も、そこも静の優しさだろうと受け入れた反面、どこか寂しさを感じていたことも事実だ。



甘える希美ちゃんと、困りながらも許す静。

そのふたりの空気は、特別だったから。



まるで私と彼女、どちらが恋人かわからないほど。



けれど、デートをして、花火大会ではキスをして……そんな時間を過ごし、少しずつ恋人は自分なんだと自信がついていった。

そんな中、決定的な出来事が起きたのは夏休み最後の日曜日のことだった。



その日、静と私は花火大会以来のデートの約束をしていた。

遊園地へ行って一日中遊んで、最後に観覧車に乗ろう。そう計画をして、待ち合わせた。



けれど、その日静は待ち合わせ場所の駅前に来ることはなかった。



30分、1時間、2時間……いくら待っても静は来ず、メールの返信もない、電話も出ない。

なにかあったのだろうか、事故?病気?トラブル?

心配で、だけど静の家も知らないから動けなくて、次第に天気は悪くなり、雨降る中待つしかできなかった。



そんな苦い気持ちで日曜を終えた翌日も、私は補習で、学校に行った。

そこで待ち受けていたのは、希美ちゃんだった。


< 156 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop