クールな弁護士の一途な熱情



「俺なら、果穂にそんな思いさせないし悲しませない。だから、利用されてもいいから俺にもチャンスがほしい」



再会を運命だと思う、その気持ちは以前の自分にも重なる気がした。



その純粋な気持ちを逃げ道にするなんて、きっと間違ってる。

逃げたところで限界はある。

そうわかっていても、今の私には逃げずに向き合う勇気などない。



傷つくことも敵意を向けられることもいや。

だから、この恋はもうおしまいにする。

今だけ、彼の力を借りて。



心の中でつぶやいて、私は小さく頷いた。




静への気持ちは、ひと夏の思い出。

胸にしまって、日常へ戻っていくんだ。





< 165 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop