クールな弁護士の一途な熱情
そして静は、そのまま右手で私の体を抱き寄せる。
熱く力強い腕には、痛いくらいの力が込められた。
「好きだよ、入江。あの頃も今も、ずっと入江のことだけを見てる」
制服を着ていたあの頃から、今この瞬間まで。
ずっと変わらない想いが、その胸にあった。
それが嬉しくて、一度止まった涙が再び込み上げ彼の胸元を濡らす。
嬉しい。
だから、もう揺らがないと誓うように。
私も今、この胸にある想いを伝えよう。
「私も、ずっと後悔してた。あの時、希美ちゃんの言葉ひとつに不安になって、静と向き合えずに逃げたこと」
本当に信じるべきは、好きな人の言葉だったのに。
静の胸にすがりつくように、その背中に腕を回す。
「でも、夏がくるたび静のことを思い出してた。だからもう、逃げたくない。静を信じてそばにいたい」
逃げて、目を背けて、忘れようとしても忘れられなかった。
だって、花村さんが言っていた通り。私はこの想いをきちんと伝えきれていなかったから。
だから、伝えよう。
今の私の胸にある気持ち。
「それくらい、静のことが好き」
胸から顔を上げて、彼を見上げる。
きっと私の顔は涙でメイクもはげて、ひどいことになっていると思う。
けれどこちらを見た静は、泣きそうな顔で笑って、愛おしむように私の涙を拭った。
そして、そっと唇を重ねた瞬間。
ふたりを照らすように、ドン、と花火が上がった。