クールな弁護士の一途な熱情
13.未来
今年は比較的暖かかった秋を越え、季節は冬を迎えた。
街を行く人々はコートやブーツに身を包み、寒さに身をすくめながら足早に歩いている。
「入江さーん!」
12月後半、クリスマスまであと4日と迫った金曜日。
オフィスで資料をまとめている私の元へ、同じブランドで働く後輩社員が大きな声とともに駆け寄った。
「この前入江さんが企画した商品、売上出ましたよ!もう絶好調!追加発注もどんどんきてます!」
「本当!?よかったー!」
彼女が見せた手元の書類には、先日発売した新作……私がこのブランドに来て初めて企画したコーナーの売上結果が載っていた。
その数字は、予想を上回るものだ。
このブランドに異動して3ヶ月。
ようやくここにも慣れてきて、成果も出てくるようになった。
最初は学ぶことが多くていっぱいいっぱいにもなったけれど、こうして成果が出ると、やっぱりこの仕事が好きだと思う。復職を選んでよかった。
たまたま近くを通りかかり話を聞いていた部長も、売上を見て感心した様子で頷く。