クールな弁護士の一途な熱情
翌朝。目を覚ますと、部屋に静の姿はすでになかった。
私が寝ている間に静は仕事へ行ったのだろう。起こさぬようにと出て行く静の姿が想像ついた。
……昨日も夜中までしてたのに、朝早くから仕事に行けるなんてタフだなぁ。
感心しながらも、昨夜のベッドでのことを思い出し少し照れる。
さて……今日は静は夕方には仕事が終わるそうだから、それまでに私も一度帰って着替えてこようかな。
静は服とか化粧品とか置いておいていいって言うけど、なし崩し的に同棲になってしまいそうでどうかと思う。
前までだったら、付き合って同棲して結婚、なんて素直に期待もできただろう。
けど、万が一静から『付き合ってみたけどイメージと違う』とか言われたら……立ち直れない気がする。
そんなことを考えながら、軽く身支度を整えて、静のマンションをあとにした。
マンション最寄りの駅で改札を通ろうとした、その時。
たまたま目の前で改札を通ってきた希美ちゃんと目があった。
「あれ」
「……げ」
希美ちゃんは私の顔を見た途端、露骨に嫌そうに顔を歪めた。
どうしてここに希美ちゃんが?