クールな弁護士の一途な熱情

「どんなに長い時間そばにいたって、どれほど希美が想ったって、しーちゃんが見てくれなきゃ意味なんてないことわかってた。けどいつかもしかしたらって、期待を捨てられなかった」



悔しさをにじませる声と、堪えきれず床に落ちる涙に、この胸がきゅっと締め付けられた。



……希美ちゃんも、長い長い片想いをしていたんだよね。

もしかしたらと期待しては沈んでを、繰り返してきたのだろう。

その胸のうちを思うと、この胸も切なく苦しい。



なんて言葉をかけてあげるべきなんだろう。

言葉がみつからず、拳をぎゅっと強く握った。



けれど、希美ちゃんは少し黙ってから服の袖で涙を拭いて、深呼吸をしたかと思えば顔を上げた。



「悔しいけど、もう無理なんだってやっと気付いた。だから、希美もそろそろ結婚相手探さなくちゃ」



それは吹っ切ろうと前を向く、まっすぐな眼差し。



「けど、ちょっとでも隙見せたら希美が奪っちゃうんだから」



そう、目と鼻を赤くさせた彼女はいたずらっぽく言って笑う。