クールな弁護士の一途な熱情
「なに?こっち見て笑って」
「いや。かわいいなぁって思って」
またそういうことを、サラッと言ってみせるんだから。
『かわいい』のひと言に少し照れていると、静はそれを見てまた笑う。
「となり、いってもいい?」
「うん。あ、でも重心偏っちゃうかも」
答え切らないうちに静はこちらへ一歩踏み出し、私の隣に腰を下ろす。
ゴンドラがギイ、と音を立て、ほんの少しこちらに傾いた気がした。
並んで座ると、静はそっと私の手をとる。
いつもはあたたかいその手も、この寒さの中ではすっかり冷えてしまっていた。
ぎゅ、と私の手を包む長い指に、愛しさが込み上げる。
今朝のこと、静にも伝えておくべきだよね。
希美ちゃんと会ったこと。私の気持ちも含めて、伝えよう。
「……今日さ、希美ちゃんと会ったんだ」
私が唐突に切り出した話題に、静は目を丸くして驚いた。
「え?どこで?」
「駅で。たまたま向こうも仕事行く前だったみたい」
「あー、希美あの近くの病院で看護師やってるんだよね」
看護師……そうだったんだ。
確かに駅近くに病院があったっけ。
そう駅前の景色を思い出していると、静はハッとしたように心配そうな顔をした。