クールな弁護士の一途な熱情
「……まだ言うつもりなかったんだけど、こうなったら観念して報告するか」
その言葉に女性社員たちは悲鳴のような声をあげ、男性社員たちは「おおー!」と盛り上がる。
「改めて、この度結婚することになりました。相手は、うちの会社の……」
みんなの視線がこちらに向くのを想像して、ドキドキする。
ところが、上原さんの視線が向けられたのは私がいる位置とは真逆の開発課のデスク。
そこにいたのは、入社1年目の女性社員だ。
「えっ、宮田さん!?」
「まだ21歳じゃないですか!上原さん、若い子捕まえたなぁー!」
宮田さん、というその子は、みんなから一斉に向けられた視線に恥ずかしそうに頬を染める。
「でもいきなり結婚だなんてどうして……あ、もしかして」
察したように言う男性社員に、上原さんは照れ臭そうに苦笑いをした。
「……お察しの通り。子供が、できまして」
突然の結婚発表に続いて飛び出した妊娠発表に、再びオフィスには悲鳴や盛り上がる声が響く。