クールな弁護士の一途な熱情
「お待たせ、行こうか」
そして少ししてから、茶色い鞄と紙袋を手にした静と事務所を出た。
昨日同様、駐車場にとめてあった黒い車に乗り、静とふたり横浜を出る。
「どこ行くの?」
「都内の企業回り。企業の顧問弁護士もいくつかやってるから、定期的にヒアリング行ってるんだ。ちなみに今日は港区中心」
「へぇ……」
そういう仕事もあるんだ。手広いなぁ。
頷きながら、窓の外の通り過ぎていく景色を見ると次第に車は人の多い街を抜け、レインボーブリッジを渡る。
白い夏雲が浮かぶ青空に思わず目を奪われていると、そのうち車は都内へ入りビルの間を走り抜けていく。
そして横浜を出てから30分ほどが経った頃、新橋のコインパーキングに車を停めて、そこから近くの会社へ向かい歩いた。
「ねぇ、でも弁護士でもない私も一緒に行って大丈夫なの?」
「うん。会社についたら、入江は秘書って形で紹介するから。あとは話に合わせて笑ってれば大丈夫」
小さな心配も、静は笑って拭い去る。
その笑顔がやっぱり安心するなぁ。つられるように笑うと、その隣を歩いた。