暁くんがメガネを外したら・・  【完結】
「すいません、まさか人がいるとは・・」



『私こそ、誰か来るとは思ってなくて。
 ちょっとびっくりしちゃった』



暁くんは、足元のおにぎりを拾って

私にくれた。



『ありが・・』


あっ!

おにぎりを受け取ろうとして
伸ばした手が
横に立っているトルソー
(マネキンの、上半身だけのもの)
にぶつかった。

トルソーが、ゆらゆら揺れて、
こっちに倒れてくるっ!!


ひえ~
ぶつかるぅぅぅっ






ん?あ・・れ?

なんの衝撃もないから

ぎゅっとつむっていた目を開けてみると

暁君がマネキンを支えてくれていた。



「だい・・じょうぶ?」


『う・・ん。
 ありがと』




今度はちゃんと言えた。



「・・・・・・」

『・・・・・・』



―――シーン―――



暁君は静かにトルソーを元の位置に戻し、

「メガネが」


と小声で言った。


『え?』


「メガネが壊れてしまって。
 ここなら何か、応急処置できるもの
 あるかな、と…」



見ると、確かに耳かけの部分が

片っぽ割れていた。



暁くんが、テーブルに、

欠けた耳かけの部分を置いた。
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