トモダチ地獄～狂気の仲良しごっこ～
「あたし、言ってないよ！」

彩乃が我先にとブンブンっと首を横に振る。

「あ、あたしも言ってない！言うはずないよ!!」

エレナのお父さんの事故の話を薫子にする必要も意味も全くない。

あたしが彩乃に同調するように首を横に振ると、黙って話を聞いていた薫子がクスクスと笑った。

「なんで笑ってるの……？」

思わず顔が引きつる。

すると、薫子がエレナをまっすぐ見つめながらこう言った。

「大げさね。親が死ぬのは仕方がないことでしょ？順番的にはおかしくなんてないし」

「どういう意味……？」

「私達より先に両親が死ぬのは自然なことじゃない。でも、交通事故で死ぬっていうのはおかしいわね。トラックにひかれてぺっちゃんこなんて前世でどんな悪いことしてたのかしら！」

「は……？」

「だーかーら、あなたのお父さん、前世では罪人だったんじゃないの？」

ふふっと笑った薫子に「ふざけんな！」と叫ぶと、エレナは思いっきり薫子の髪の毛を引っ張った。

「え、エレナ！」

止めることはもう不可能だった。

怒り狂ったエレナは薫子の髪の毛を掴みそのまま左右にゆすった。
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