トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「フレネミーは怖いよ。良い人を装っていることもあるし。その薫子っていう子はまだわかりやすいからいい方だ。一番厄介なのはいい人のふりをしているフレネミーだ。フレネミーにも色々なタイプがいるからね。案外、近くにたくさんいることもあるんだよ」

「へぇ……。まぁ、あたしの周りには薫子だけしかいないと思うけど……」

「俺も被害にあったから分かるんだ。とにかく、フレネミーには近づかないことだ。あいつらは狡猾だ。近付いたら最後、自分が痛い目にあう」

「うん……」

「俺は当時結婚を考えていた彼女とも親友ともそいつのせいで関係をグチャグチャにされた。フレネミーはその人間だけなくその周りの人間にも悪影響を及ぼす。くれぐれも気を付けるんだよ?」

たけちゃんの言葉に何故かうすら寒くなる。

そこまで深く薫子のことを考えていなかった。

よくクラスに一人か二人いる空気の読めないイラつく奴という認識しかなかったから。

でも、たけちゃんの言葉通り薫子がフレネミーなら今後何かを仕掛けてくる可能性が高い。

そうだ。調理実習の時だって、薫子は平然とした顔で嘘をつき先生や周りのクラスメイトの同情を買い、自分が被害者であたし達3人が加害者だという意識を全員に植えつけた。

あの子は思っていた以上に危険な人間かもしれない。

「たけちゃん、ありがとう。気を付けるね」

そう言って気丈に笑ったあたしの頬はわずかに引きつっていた。

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