トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

……でも。そこまで考えて思い直す。

そもそも事の発端を作ったのは薫子だ。

昨朝、登校すると薫子があたしの席にやってきて薄気味の悪い笑みを顔面にはりつけてこういった。

『エレナのお父さんって事故死してるんでしょ?』

さも嬉しそうにそう言ってのけた薫子に目が点になった。

一瞬、何の話をされているのか理解できなかった。

そんなあたしに向かって薫子は更に言葉を続ける。

『大変だったのね。やっぱりお父さんがいないから、エレナってお金に困ってるの?』

その言葉であたしはようやく我に返った。

どうしてそれを……お父さんの事故のことを知ってるの?

薫子に話したことはない。

だとしたら……。

『ま、私には興味のない話だけど』

『待って……アンタ、待ちなさいよ!!』

吐き捨てるように言って自分の席の方へと歩みを進めた薫子をあたしは弾かれたように立ち上がって追いかけた。
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