トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
『私の口からはどちらとは言えないけど』

その言葉に腸が煮えくり返りそうになった。

父の死を聞きわざわざあたしにその話をしてきた無神経な薫子に対しての苛立ち以上に、内緒にしてほしいと頼んでいた事故の話を薫子にしたであろう二人への怒りの方が大きかった。

もしかして……これって当てつけ?

手持ちがなくて映画代を払わなかったせい?

だから薫子に話したって言うの?

だとしたら、彩乃?ううん、梨沙の可能性だってある。

昨日の彩乃はあたしに対しての怒りを露にしていたし、可能性はある。

でも、だからといって梨沙が完璧な白かといったら怪しい。

そもそも薫子と繋がっていそうなのは彩乃よりも梨沙だから。

『エレナ、おはよう。って……どうした?』

登校してきた彩乃があたしに挨拶をしてきた。

でも、おかしな空気を感じ取ったのかあたしと薫子を交互に見つめて困惑した表情を浮かべていた。

グッと感情が込み上げる。

『ちょっ、ちょっと……どうしたの?』

梨沙もあたし達の元へやってきた声を上ずらせる。

こいつらのどちらかがあたしを裏切った。
< 133 / 221 >

この作品をシェア

pagetop