トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
それはあたしとたけちゃんが揃ってビジネスホテルに入っていく写真だった。
でも、この写真は昨日のものではない。昨日は制服だったこともありたけちゃんとは離れて歩いていた。
こんな写真…一体、誰が……。
背筋が冷たくなる。
でも、大丈夫だ。この写真を見られたっていくらでも言い訳ができる。
あたしのお父さんが亡くなったと知らない人にはたけちゃんはお父さんだと答えてしらを切ることができる。
……ただ、梨沙と彩乃にその言い訳は通用しない。
動揺して心臓が不快な音を立てて鳴り続ける。
そもそもこんなに動揺する必要なんてないはずだ。たけちゃんとはアプリで出会い、金銭的な援助をしてもらってはいるけれど体を売ったことは今まで一度もない。
たけちゃん以外の人とも会ったりするけれど、体の関係は一切ない。
そこまでしてお金を稼ごうとは思っていなかった。
こういうことしていて非難されるのはお金をもらう対価として自分の体を売るからだ。
あたしの場合はただ、お小遣いをもらえてちょっとした夕食をごちそうになれればよかっただけ。
そうすればお母さんも少しは楽になるはずだ。
そんな気持ちからパパ活を始めた。
そうだ。やましいことなんてない。
必死に自分を励ましていると、
「……エレナ」
頭上からあたしを呼ぶ声がした。