トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
担任には『一方的に暴力を振るわれたのに、あなたのことを許すって言ってくれたのよ。葛生さんにきちんと謝らないとダメよ』とたしなめられたけれど、謝る気にはなれなかった。

そもそも薫子が煽るようなことを言ってきたのが悪いのだ。

正直、二度と関わり合いなど持ちたくない。

「そのお金って……」

すると、薫子は彩乃の手の中にあったお金に気付いた。

「あたしが彩乃に渡したの。映画代とか払ってなかったから」

薫子の顔なんてもう見たくない。

さっさっと自分の席に戻ってもらおうとまくしたてるように応える。

「あぁ、そうだったのね。そういえばエレナってどこでバイトしているの?」

「え……?」

「隣町のファミレスっていうことしか知らないんだけど、正確な場所はどこ?」

「な、なによ急に……」

薫子の言葉に頬の筋肉が引きつり痙攣をおこす。

「一度行ってみたいなって思って。ねぇ、どこ?」

どこと聞かれても答えようがない。

本当はバイトなんてしていないんだから。

「やめなよ、薫子」

薫子をたしなめたのは彩乃だった。
< 137 / 221 >

この作品をシェア

pagetop