トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「エレナはバイトしてるところ友達とかに見られたくないんだよ。ねっ、エレナ?」

「う、うん……」

二人には『あたし、友達とか知ってる人がバイト先に来ると緊張して失敗ばっかりしちゃうんだよね。だから、みんなが来ない隣町のファミレスでバイトしてるの』と予防線を張っておいた。

本当はバイトではなくパパ活で稼いでいるとはどうしても言えなかった。

「じゃあ、行かない。そのかわりどこのファミレスかは教えてよ」

「ど、どうしてそんなことに答えなくちゃいけないの?」

「減るわけでもないんだし教えてくれたっていいでしょ?それとも、そこでバイトしていないから教えられないの?」

「そんなわけないでしょ!?」

怒りに任せた放った声は自分が思ったよりも大きく、教室中に響いた。

「と、とにかく教えたら絶対来ないとも言いきれないし……教えたくない」

苦しい言い逃れだとは自分でも分かっていた。

でも、それしか言えなかった。

ギュッと痛いぐらいに手のひらを握り締める。

もうパパ活はやめて自分でバイトをしてお金を稼ごう。

そうすればこうやってコソコソする必要も梨沙や彩乃に嘘をつく必要もなくなる。

今日の放課後、ゆっくりバイトの求人でも探してみよう。

選り好みしなければたくさんあるはずだ。

あたしがそう答えると、薫子は「ふーん」と意味深な笑みを浮かべた。

そして、「ねぇ、みんなパパ活って知ってる?」と言ってのけた。
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