トモダチ地獄～狂気の仲良しごっこ～
「えっ、えっ、ちょっ、葛生さん……？」

「ひどい！薫子って呼んでいいって言ったのに、どうして名前で呼んでくれないの？私の名前なんて呼びたくないの？そういうこと？」

「あ、ごめん。か、薫子、泣かないで？ねっ？」

何であたしってば謝ってるんだろう。

これじゃ何かあたしが悪いことやひどいことを言って薫子を泣かせているみたい。

あたし、悪者みたい。

でも、あたし、悪いことなんて何一つしていないのに。

それなのに……。

ぐっと込み上げてくる感情を抑える為に手のひらをきつく握り締める。

今の状況がよく理解できずにいると、

「それなら。葛生さんも一緒に食べる？」

エレナが助け舟を出してくれた。

「うん。そうする」

そう答えると、薫子はにんまりと笑った。

さっきまでの泣き出しそうな表情が今は嘘みたいに笑顔で満ち溢れている。

薫子は近くにある机と椅子を引っ張りあたし達３人の席に遠慮なくくっつけた。

その様子を唖然とした表情で見つめるあたし達３人。

「ゆっくり食べてね。それか少し箸を休めてて。私、同じタイミングで食べ終わりたいから」

薫子は悪びれることなくにこりと穏やかに微笑んだ。
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