トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「ごめんね、今日はちょっと用事があって一緒に帰れないの」

放課後になり梨沙にそう告げ、彩乃に「部活頑張ってね!」と声をかけて教室を飛び出す。

昨日薫子に暴力を振るったことであたしは一日中針のむしろだった。

梨沙と彩乃はクラス中の冷たい視線や非難する声を「気にしないほうがいいよ」とかばってくれたけれど、やっぱり堪えた。

そして何より、一刻も早くバイトを探す必要があった。

口には出さなくても梨沙と彩乃はあたしがパパ活をしていることを疑ったかもしれない。

どこでバイトしているのか教えないなんてよくよく考えたら怪しまれても仕方がない。

あたしは駅でフリーペーパーの求人誌をもらい、近くの公園のベンチに座り必死に求人票を見つめた。

『高校生大歓迎!時給900円~土日祝日は時給50円アップ!』

「え……時給900円……?やっす。しかも、土日のどちらかは絶対に出ないとダメなの……?」

放課後4時間働いても3600円しかもらえない。

たけちゃんなら食事をするだけで10000円はくれるのに。

「ハァ……薫子のせいだ」

薫子がパパ活のことなんて話題に出したりしなければこんなに必死になってバイトを探す必要なんてなかったのに。

心の中で薫子を罵る。

それにしても、あの写真をあたしの机に忍ばせたのは一体誰なんだろう……。

いつからあたしとたけちゃんのことを知ってたの……?

キリキリと胃が痛む。

あの写真をバラまかれでもしたらあたしは終わりだ。

やっぱり新しいバイト先を早急に探す必要がある。

パパ活ではなく、バイトでお金を稼いでいると胸を張って言えるようにしておかなければ。
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