トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「いたっ……」

あまりにも強く髪を引っ張られていたせいで、頭皮がジンジンと痛む。

痛みを伴う頭を押さえて顔を歪めるあたしに薫子は微笑んだ。

「パパ活なんかして楽にお金を得ようとすれば必ず代償を払うことになるわ」

「人に平気な顔をして暴力を振るうアンタにそんなこと言われたくない!」

「あら?先に手を出したのはエレナ、あなたじゃない」

「もう、アンタのこと見たくない。もう二度とあたしの前に現れないで!!」

「だったらエレナが私の前に姿を現さなければいいじゃない?」

クックッと喉で笑う薫子に感情を爆発させそうになる。

「ハァ?マジで話になんない!アンタっていつもそう!話をすり替えて人の揚げ足取って自分の意見が正しいみたいな言い方して嘘ついてみんなのこと振り回して。空気読まずに自分の言いたいことばっかり言って!アンタみたいな人間のこと、フレネミーって言うんだよ。知ってる?」

「あー……、フレネミー。中学の時にクラスメイトに言われたことあるわ。それに妹にも」

「やっぱり!アンタみたいな人間にとやかく言われる筋合いはないから!そのままの性格でいれば、親友はおろか友達だってできないんだから!」

まくしたてるようにしゃべり息が荒くなる。

「そう。私はあなたにどう思われようと痛くもかゆくもないわ。忠告、どうもありがとう。でも、私の心配なんてしてないで自分の心配をした方がいいと思うけど」

アンタの心配なんてしてない!!

心の中で叫ぶと、あたしは地面に転がったバッグを引っ掴んでその場を後にした。
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