トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「エレナのところにもこんな写真が届いているんじゃないか?」

「うん……。あたしの学校の机の中にたけちゃんとホテルに入ったときの写真が……」

「やっぱりな。僕の家や近所の家のポストにもエレナとの写真が投函されていたんだ」

「……どういうことなの?それに、この写真……」

この写真に写っている醜い姿の中年親父は本当にたけちゃんなの……?

それに……いつも自分のことを俺って言っているたけちゃんが僕って言っている……。どういうことなの?

「その写真の僕が本当の僕だよ。今、エレナが見ているのは偽りの僕」

「どういう意味?」

「エレナ、君はバカな子だなぁ。50代未婚ニート実家暮らし。そこまで言えば君にも分かるかな?」

「え」

ドクンっと心臓が震えた。目の前のたけちゃんの顔がぐにゃりと歪む。


たけちゃんは60代の大手電子機器メーカーの会社役員だったはず。

奥さんも子供もいる。

だから、約束した。

家庭を壊すことはしないし、プライベートな詮索もしないし、慎重に行動する。

そうだよね、たけちゃん?

家族もあり、社会的な地位の高い人なら変なことはしてこないだろうという考えがあった。

だから、信用していたのに。だからこうやって二人っきりでホテルの一室にいても安心していられたのに。

それなのに。
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