トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「両親に僕が見捨てられるはずがないってずっとたかをくくっていたんだ。でも、心のどこかでは両親に捨てられたら生きていけないという恐怖も感じていた。だけどもうそんな心配は無用だ。もう両親はいない。僕にはもう怖いものなんてないし、失うものだって何もない」

「こ、来ないで……」

窓際に追いやられていくあたし。体中が強張りうまく足に力が入らない。

「あぁ、そうそう。前にフレネミーの話をしただろう。あの話だけは唯一本当だ。同僚にフレネミーがいて職を追われたのも、当時結婚を考えていた彼女や親友との関係をグチャグチャにされたのも。フレネミーはその人間だけなくその周りの人間にも悪影響を及ぼす。エレナのそばにいたフレネミーのせいで僕はまたすべてを壊されたんだ」

「たけちゃん……やめて、お願い、こっちに来ないで!」

恐怖心が沸き上がる。

たけちゃんの目には光がない。すべてを諦めてしまったような闇が広がっている。

「これは全部、薫子っていうフレネミーが描いた絵だ。僕らはその絵の中で踊らされている」

「ち、違う!薫子にそんな力はない!」

「フレネミーは恐ろしいよ。相手の人生をあっけなくぶち壊す。もうどうなったっていいんだ。僕はもう犯罪者なんだから。ねぇ、エレナ。僕はずっと一人ぼっちだった。だから、最期ぐらい誰かに隣に寄り添っていてもらいたいんだよ。意味は分かるね?」

たけちゃんがあたしに手を伸ばす。

再び、目の前がかすみ体がぐらりと揺れた。

立っていられずその場に座り込む。
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