トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
必死の思いでスマホを取り出して画面をタップする。

たけちゃんは油断しているのかまだこちらに戻ってきそうな気配がない。

早く助けを呼ばなくちゃ――!!

頭がくらくらしてくる。

意識を失うのは時間の問題だ。

強烈な眠気で瞼が自然と閉じそうになる。

あぁ、ダメだ。ここで眠ったら最後……。

助けを呼ばなくちゃ、とそこまで考えて思い直す。

でも、一体、誰に助けを求めるの……?

スマホを持ったまま呆然とする。

ここに警察を呼べば大騒ぎになってしまうのは間違いない。

もしうまく助け出されたとしても、このホテルにいた理由を問われる。

たけちゃんとの出会いから今に至るまでのことを事細かに話さなくてはいけなくなる。

しかも、たけちゃんは両親を刺したと言っていた。

もしそれが本当だったらたけちゃんは犯罪者だ。

警察もマスコミも血眼になってたけちゃんを探しているはずだ。

もし、その犯人が……今ここにいるたけちゃんだとバレたら……?

嫌でも一緒にいるあたしが注目を浴びてしまう。
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