トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
我が家はバレー一家だった。
アマチュアの実業団に所属していた両親はそこそこ名の知れた選手だった。
けれど、怪我などが原因でどちらも花開くことなくバレー人生に幕を閉じた。
『あなたは何が何でも日本の代表選手になるの。私たちが叶えられなかった夢を背負って立つのよ!』
母の言葉が脳内でこだまする。
両親の期待を一身に背負い、すべての時間をバレーの練習に当てていた。
高校進学の際も、あたしに選ぶ余地などなくスポーツ推薦で今の学校に入学した。
みんなあたしが順風満帆なバレー人生を歩んでいると思っている。
でも、本当は違う。
あたしには弱点がある。身長だ。
1年生だって最低170センチはあるのに、あたしは160センチしかない。
アタッカーの身長としては確実に低い。
『どうしてそんなに小さいの!お父さんとお母さんは大きいのに。もっと大きくならないとダメじゃない!!』
そんなこと言われても努力でどうこうなる問題ではない。
毎日嫌になるぐらいそのセリフを浴びせられ、乳製品や緑黄色野菜やたんぱく質を大量に摂取させられた。
好きな物も食べられず制限される毎日。
友達と自由に遊ぶことも許されない日々に嫌気が差していた。
そうあの頃……中三のあの時期、あたしの心はひどくささくれ立っていた。