トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
試合後の部内の雰囲気は最悪だった。

誰がどう見ても敗因は真緒だし、サーブカットすらまともにできないなんてレギュラーとしてありえない。

『ねぇ、真緒。どうしてあたしたちの足を引っ張るの?』

ぐるりと部員に周りを囲まれて真緒が真ん中に追いやられる。

360度から部員全員に見つめられた真緒はこのときはじめて涙を流した。

あたしはぞくぞくするような快感を覚えた。

『ご、ごめんなさい……。私……先生にレギュラーを外してもらうようにお願いします。本当にすみません』

『ごめんで済ませようとするなんて。外してもらうとか上から目線で言わないでよ。アンタをレギュラーに選んだ先生の顔を潰す気?』

『でも、もう私……できません。これ以上続けられません……』

真緒は涙ながらに必死になって謝った。

『本当にもう限界です……。苦しいんです……だから――』

これぐらい、なによ。

『ダメ。泣くぐらいなら今すぐ学校に戻って一人で自主練して。じゃ、解散!』

すぐに泣くんじゃないわよ。

うちの両親の前でそんな弱音を吐けばすぐにビンタが飛んでくるんだから。

それに、レギュラーを勝ち取るって言うことはそういうこと。

常にプレッシャーに打ち勝つ強い精神力がいるんだから。

あたしは自分がしている行為を必死になって正当化した。
< 166 / 221 >

この作品をシェア

pagetop