トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
翌日、真緒は部活に来なかった。

真緒と同じクラスだという後輩の部員は真緒が学校も欠席したと伝えてきた。

あたしは心の中でため息をついた。

どんだけ打たれ弱い子なの……。

明日部活に来たら、今まで以上に厳しくしなくちゃ。

そんな風に悠長に考えていたあたしも、真緒が三日、一週間、十日と学校を休み続けていることに危機感を抱き始めた。

あたし、そんなに厳しくしてないよね……。

だってミスしたのは真緒のせいじゃない。それを指摘しただけ。

あたしは何もしてない。あたしは何も……――。

真緒は結局、あたしが卒業するまで学校に姿を現すことはなかった。

風の噂では精神を病み、自傷行為に走り自宅に引きこもっているらしい。

卒業する前に一度だけ真緒の家を訪れたことがある。

もちろん、チャイムなどは押さずに外から眺めていただけ。

そのとき、玄関から出てきた母親らしき人は家を出て数歩歩くと自宅の二階を見上げた。

直感でそこに真緒がいる気がした。あの部屋で、あの場所で真緒は一人苦しんでいるの……?

真緒の母親が背中を丸めて歩いていく。

あたしが、真緒を壊した……?

親から与えられたプレッシャーやストレスを何の関係もない真緒にぶつけた結果がこれ……?

その背中を見つめていると、罪悪感が全身を包み込んだ。
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