トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「よく考えたら……おかしいことだらけ。エレナのお父さんが事故死したって……薫子がエレナに伝えたんでしょ?あたし、薫子にそんな話してない。梨沙だって……そんなこと軽々しく話したりしない」

「梨沙のことなんでも分かってるようなこと言うのね?」

「分かってる。親友だもん。少なくとも薫子よりは」

「親友って言葉でいうのは簡単だものね」

「誤魔化さないで。薫子……アンタ自分でエレナのお父さんのこと調べたんじゃないの?ううん、エレナのことも調べてた。だからエレナがパパ活をやっていたって知っていた……」

「まさか。その証拠はあるの?」

「ないよ。でも、そう考えると全て説明がいく」

あたしは思わず立ち上がった。

それにつられて薫子も立ち上がる。

「あたしの中学時代のことも……アンタが自分で調べたんじゃないの……?それをエレナが話したって嘘ついてあたしに伝えた」

自分の推理に身震いする。もしそうだとしたら、あたしはとんでもないメッセージをエレナに送ってしまったことになる。


【あたし前から知ってたんだよね。エレナがパパ活やってたこと】

【梨沙は知らないと思う。でも、薫子も知っちゃったみたいだね。アンタ、隠すの下手すぎだから】

【正直に言うけどあたし、パパ活とかやってる子無理。気持ち悪いし】

【エレナがあたしのことどう思おうが構わないけど、こっちだって願い下げ。アンタとなんてもう友達でも何でもないから】

昨日は頭に血が昇って冷静になれずに薫子の言葉を真に受けてしまったばかりにエレナに酷い言葉を投げかけてしまった。

あたしの中学時代のことをエレナが知らなかったとしたら……?

薫子の手のひらで……転がされていたっていうこと……?

「どうしてこんなことするのよ……。どうしてよ!?」

恐ろしい。目の前で微笑む薫子の綺麗な笑顔に全身に鳥肌が立つ。

この子、変。おかしい。

恐怖におののくあたしに薫子がふふっと笑った。
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