トモダチ地獄～狂気の仲良しごっこ～
「なんか、薫子ってちょっと変わってる子だよね」

放課後、いつものように二人で帰る途中、エレナはポツリとそう呟いた。

「今日のお昼のこと？」

「うん。突然梨沙のことを屋上に誘ったり、彩乃の部活のことをあれこれ言ったり……」

「そうだね……」

「でもさ、今まで一緒にお昼も食べたことないでしょ？それなのにどうして突然あたし達のグループに入ってこようと思ったんだろう」

「もしかしたら……調理実習の班かも。あたしが一緒の班になろうって誘ったから」

薫子を誘おうと提案したのはあたしだ。

あたしとエレナの間に漂う空気が次第に重たくなる。

こんな空気になってしまったのはあたしが軽い気持ちで薫子を誘ったせいだ。

「なんか……ごめんね」

申し訳なくなってエレナに謝ると、エレナはにこっと笑って首を横に振った。

「どうして梨沙が謝るの？謝る必要なんてないから」

「でも……」

「とりあえず、調理実習は４人で仲良くやろうよ。ねっ？」

「うん。そうだね」

前向きなエレナの言葉に逆に励まされる。

きっと大丈夫。

あたしは自分自身に無理矢理そう言い聞かせた。
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