トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
階段に座り込むあたしの横をごくたまに通る通行人は不思議そうな表情で通り過ぎていった。

今日があたしにとっての転機になるに違いない。

今まで両親の操り人形のように過ごしてきたけど、それがおかしいことであると気付いた。

真緒も言っていた。

『自分の人生は自分のものですよ』と。

バレーは好きだ。両親に強制されて練習するのではなく自分の為に練習しよう。

再びレギュラーを勝ち取れるように努力しよう。

親の為ではなく、自分の為に……。

ずっと目を反らしていた現実と向き合い、今までの自分を見つめ直すことが出来た。

もう二度と同じ過ちを犯すまい。

あたしは真緒を……自分のストレス発散の為にイジメていた。

そしてひどく傷付けた。

真緒を傷付けたという十字架を背負い、あたしは生きて行こう。


「今何時だろ……」

ぐぅとお腹の音が鳴った。

どのぐらいの間、こうやってここに座っていたんだろう。

ポケットの中のスマホを取り出して電源をオンにする。

すると、予想通り母からのメッセージが信じられない量届いていた。

【今すぐ連絡しなさい】

【電源を入れなさい!今すぐに!】

【どこにいるの!?】

短文のメッセージが1分間に何通も送られている。

そのメッセージすべてに既読マークがつく。

あたしは震える指先で画面をタップした。

【電源切っててごめん。帰ったら話したいことがあります】

母に送ったメッセージがすぐに既読になる。

母は今か今かとスマホを握り締めてあたしからのメッセージを待っていたようだ。
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