トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「あたしの……為?」

バレーをすることがあたしの為になると両親は呪文のように繰り返した。

でも、それって本当にそうだった……?

「そんなの……あたしの為なんかじゃない!お父さんもお母さんも自分が叶えられなかった夢をあたしに押しつけてるだけじゃない!あたしは二人の操り人形じゃない!!!」

絶叫しながら手を振り払うと、母の体がぐらりと揺れた。

「あっ!!」

前につんのめった母の体に腕を伸ばしたものの、あたしの手のひらは無情にも空を切った。

母が階段を転げ落ちていく。

一番下まで落ちたところで、母はうつぶせになった。

階段の一番上からでも母の頭部付近から大量の血が溢れ出ているのがわかった。

「そ、そんな……」

ガタガタと震える両足。

「お、お母さん……お母さん……!」

転がり落ちそうになりながら階段を駆け下りた。

母の肩をゆすってもまるで反応がない。

「誰か、誰か助けてください!!」

こんなつもりじゃなかったのに――。

必死に叫んでも、辺りには誰の姿も見えない。

あたしはポケットの中からスマホを取り出して画面をタップした。
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