トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~
「ねぇ、どうして無視するの?」

薫子の言葉を右から左に受け流す。

「梨沙が言ったのよ?彩乃とエレナっていう親友がいるから私とは親友になれないって。でも、二人はもういない。二人がいなくなって、私と親友になってくれるんでしょ?だとしたらおかしいじゃない。親友の梨沙が私のことを無視するなんて」

薫子の非難めいた高い声が癪に障る。

あたしは渋々薫子に視線を向けた。

「あのね、例え二人がいなくなってもあたしが薫子と親友になることなんてないの。1%も。勘違いして一人で暴走するのやめてよ。迷惑なの。本当はもっと早く言いたかったけど我慢してあげてたの」

薫子の頬が引きつる。

「あたしにはもうあの二人とは違う親友ができたの。いつまでたっても友達も親友もできない薫子とは違うの」

「どうしてそんなことを言うの?私は正義感の強い梨沙が好きだったのに。そんなことを言うなんて……」

「うーん……、確かにあたし昔は正義マンってみんなに呼ばれてた。だけど、別に正義感ぶっているつもりはないの。自分の意見や考えを我慢するのが嫌だっただけ」

スマホをポケットに入れて立ち上がる。

「薫子だってそうでしょ?」

冷たく見下ろすと、薫子の表情が曇った。

あぁ、すっきり。今まで言いたいことの1%も我慢して言えなかったけど、もう我慢する必要なんてない。

これ以上あれこれ言ってくるようだったら、うまく排除してしまおう。

あたしは心の中でにんまりと微笑んだ。
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