トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

「な、なんで?なんで薫子がここに……?」

薫子はにんまりと笑った。

「お待たせ」

「……い、意味が分からない」

「michiのこと待ってたんでしょ?」

「なんでそれを……。まさか……薫子がmichi?」

「それは違うわ。私はmichiじゃない。薫子よ」

「じゃあどうしてここに!?あたしはこの公園にmichiと8時にって約束をしたの。薫子が偶然現れるはずがないでしょ!?」

頭の中がパニック寸前になる。

「落ち着いて、梨沙。全部話すから。ねっ?」

ベンチに座ると、薫子は混乱するあたしに「梨沙も座って」と促した。

どうしてmichiではなく薫子がここに……?まさか、michiに薫子が手を出したんじゃ……?

焦燥感が募る。

でも、今は冷静になるべきだ。あたしは必死に自分にそう言い聞かせた。

「私ね、梨沙のことを追いかけてこの高校に入学したの」

薫子はほんの少しだけ恥ずかしそうにそう言った。

「中学の成績はトップだったし、もっと頭のいい学校を狙おうと思えば狙えたわ。でも、それじゃ意味がなかったの。私、どうしても梨沙と一緒の高校に入学して親友になりたかったから」

「何を言ってるの……?」

以前から薫子は時々あたしを知っていたようなニュアンスの話をしていた。

でも、あたしは薫子と昔からの友達でもなければ知り合いでもない。

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